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里山暮らし、ときどきヨーロッパ・ロングステイ

里山暮らし、ときどきヨーロッパ・ロングステイ

・「折形」(おりがた)

「折形」(おりがた)とは?
日本において昔から行われていた礼法の一つで「もの」や「お金」を和紙で包む「包み方」の決まりのことを指し、正しくは「折形礼法」といいます。

今から約600年前、室町時代将軍足利義満が伊勢家、小笠原家などの高家に命じて
「礼法」を研究、制定させたところから、以後、武家社会を中心に礼法の一つとして家内の秘伝、あるいは口伝扱いで伝えられていったのです。
当時の和紙は大変貴重で高価なものであり公家と上級武家の間のみで使用されていました。
折形礼法はその形から一目で中身が何であるか分るというところに特徴があり、使用する和紙は、相手との関係に応じて紙の質「格」を明確に使い分けるようになっている、当時の階級社会のコミュニケーション手法でもありました。

やがて、貴重な和紙も時代が移るにつれ大量生産されるようになり、一般庶民の間に徐々に普及していくにつれ包む様式そのものが広く浸透していきます。
なかでも装飾用の「折形」は「礼法」というより、むしろ「遊び」として発展していき、
これが現在の「折り紙」となっていったのです。

かつては女学校や女子師範学校の作法教科書にも「折形礼法」が取り上げられ、日本女性の教養の一つとして行儀作法とあわせて教えられていましたが、戦後の急速な西欧文化の浸透につれ、こうした日本古来の「折形」も礼法としてはほとんど姿を消し、今では結納品や神前結婚式の飾りなどの一部に残っているだけとなっています。
既製品の祝儀袋を購入したり、百貨店などで熨斗(のし)を掛けてもらうなど、現代の日常生活の中にわずかにその名残をとどめるくらいとなっています。

「折形」は、貴重な白の和紙を使って、相手のことを思いながら「礼の気持ち」を、時間をかけて手ずから物やお金を包むという「贈る心」を表現する日本の伝統様式の一つです。
おそらく世界で他に類を見ない日本独自の素晴らしい行動美学であり、紙の文化であると思われます。

・展示履歴 (企画・制作: 中川璃々)

2009.10.18【イタリアと日本の文化交流会】
於:イタリア・ウンブリア州:アメリア市「ペトリニャーニ宮殿」展示
Bイタリア展示折形.2jpg.jpg
2009.11.20-29【中川璃々の世界‥フォトエッセイ展】同時展示
於:東京都世田谷区等々力:ギャラリー「スペースS」  
折形の展示2.jpg


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